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初めてのデート

竹下通りは私が初めてデートをした場所だ。
竹下通りに連れていけばなにかしら面白いことがあって、きっと満足してもらえるだろうと思ったのだ。
確かに満足はしてくれた、違う意味で。

竹下通りを歩き、買い物をしたり、軽く食事をしたり、時間はあっという間に過ぎていった。
ただ、昼食を食べたあたりから、相手の表情が浮かないというか、なんだか不安そうに見えた。
なにか嫌なことでもしてしまったかな、と思って私も不安にはなったが、そんなことを気にしていてもなにも楽しくないので気にせずに歩いていた。

デートも終盤、どこに行こうかと相談していると「もう帰ろうかと思う」と言い出した。
なんだ?なんなんだ!?と思い「なにか悪いことしたかな?正直に言ってくれていいから!」
そう言うと、いつからついていたのかわからない頭についた鳥の糞を指差した。
うん。これは雀じゃなくてたぶん鳩だな。
雀にしては大きすぎる。
いつからついていたの?とはあまりに怖く、恥ずかしく聞けなかった。